やっと逢えた。何度も何度も逢いたいと願った愛しい人。でも…公司郎様は私と高階のおじ様の仲を誤解し、私も言い訳はしなかった。もう戻らない。そう心に決めたのだから。
「きみは金で買われた花嫁なのだよ」時は大正、時代は男性優位で女学生達の関心はもっぱら自分がどれ程地位のある殿方に貰わ…
何もかも終わりだ。プライドも貞節も力ずくで奪われ、私にはもう何も残ってはいない。地獄だ。しかし、それはまだ地獄の始ま…
清瀬川家に嫁いで数ヶ月が経った。相も変わらぬ姑からの厳しい躾。夫から毎夜のように受ける辱め。慣れようとするが慣れる筈…
これ以上耐えられない。こんな地獄の日々から逃れるにはもう、死ぬしかない。そう思い、崖から身を投げた。だが、死ぬこと叶…
舅、義祖父の二人に凌辱された夜から、夫、公司郎は私の身体に触れなくなった。あんなにも激しく、毎夜のように求めてきたの…
かつての乳兄妹で幼馴染の吉也との仲を夫、公司郎に疑われ、私はますます清瀬川の家で孤立していく。夫に触れられる事もなく…
禁を犯した。私はついに、吉也との一線を越えてしまった。夫のある身でありながら、私は何という女になってしまったのだろう…
私が吉也との密会を重ねていた間、夫にこんな女ができていた事に、私は全く気が付いていなかった。しかもお腹に子供までいる…
私は、変わった。自分でも驚くほどに、強くなった。私は自らの女の魅力と出自を最大限に活かし、徐々に清瀬川の家の中でも発…
待ちに待った吉也からのしらせ。なのに、私の心は揺れていた。吉也としばらく会わぬ間に、夫・公司郎との間に生まれた絆。こ…
妊娠?私が?一体誰の…。子供の父親候補は四人。夫・公司郎、お義父様、お義祖父様、そして吉也…。誰の子か全く判らないこ…
私が開いたサロンという名の高級娼館に、かつて夫・公司郎の子が出来たと偽り、家に乗り込んできた夜の女、志乃が、再び前触…
大正十二年、九月。その数ヶ月前、志乃さんが元気な女の子を出産した。志乃さんに名付け親になって欲しいと頼まれ、私は自分…
それは未曾有の大災害だった。娼館にいる志乃たちは無事なのか。希望子は…!矢も盾もたまらず、押し留めようとする両親の反…
やっと逢えた。何度も何度も逢いたいと願った愛しい人。でも…公司郎様は私と高階のおじ様の仲を誤解し、私も言い訳はしなか…
ようやく気持ちを確かめ合った私たちは、復縁を家族に告げるため、手に手を取って街に戻った。…だがそこで見た物は、焼け爛…
これは真珠子たちが生まれる更に数年前の話。公司郎の母「聖(きよ)」が娘だった頃、時代はもっと女が生き難い世の中だった…
今度こそ幸せになれると思った。けれど神はなんと残酷か。私はもう神なぞ信じない――。これは激動の時代を生き抜いた二世代…