人はそれが何者だかよく顔の見えない誰そ彼(たそがれ)時に怪異と出会う。山で、川で、森で、海で、時には道端で草むらで、何か不気味な正体不明の怪異と出会う。けれどおれ百鬼(なきり)哲の場合、怪異はたいてい実家にいる。そう、おれん家は変なのだ。今日も今日とて家中を何かが彷徨(うろつ)き、足をつかみ髪をひっぱり呪う相手を捜しまわっているのだから。たとえ名を呼ばれても絶対返事をしてはいけなかったのに…………(38P)(この作品はウェブ・マガジン:ホラー シルキー Vol.2に収録されています。重複購入にご注意ください。)