始発の時間。電車が来るのが遠くに見える。この電車に蒼介とふたり乗って、どこまでも行けたら…。それを願う時点で、私は…。
「おはよう 早く死んでね お姫様」今日もまた差出人不明の嫌がらせメールで美羽ちゃんの朝は始まる。おそらく西条先輩の痛…
姉貴と壱也を引き会わせたのは俺だ。高2になってすぐ、家に遊びに来た壱也が美羽に一目惚れして、紹介してくれって頼まれた…
壱也に美羽を紹介した日の夜、俺は初めて美羽を抱いた。それからも幾度となく俺は美羽を抱いている。だけど俺に抱かれている…
時は正月、家族での初詣。俺は初詣なんか行きたくないのに美羽は強引に俺を連れ出す。美羽はいつもそうだ。家族でどこか行こ…
フラッシュバック。正月早々蒼介に言われた言葉に囚われる。西条くんに電話したい。安心したい。西条くんの家で西条くんのお…
私の両親はもうずっと仲が悪い。蒼介も、私を好きな訳じゃないって私は知ってる。私なんかいなくなったって誰も困らない。寂…
美羽とは血の繋がりの無い姉弟であること。また本当は美羽を好きなことを壱也に話したいと思っている。思っているのに、うま…
百華からの痛い言葉。だけど私は家族という形にこだわりたい。だって私は…昔…。だから波風立てるようなことはしたくないの…
たぶん美羽さんは憶えていないだろう。蒼介にも言っていない。あの日から僕はずっと、彼女に救われている。※この作品は【危…
焦る必要ないのに。美羽さんは今、自分と付き合っているのに。そもそも蒼介が取り持ってくれたのに、なんなんだろうこの不安…
急遽西条くんを家に泊める事になった。さっきのキス、西条くんらしくない。どうしたんだろう。蒼介も苛ついている。ふいに、…
これまでどんなに蒼介がちょっかい出してきてもスルーしてこれたのに、今日は激しくうろたえてしまった。蒼介の本気に理性を…
2人は、家族?「家族だよ」「家族でいたい」美羽さんがそう言うなら、僕は君を守るよ。蒼介には渡さない。※この作品は【危…
美羽さんの「家族」への異常な執着。この執着がある限り、蒼介が彼女を攫いきることはできない。僕はもっと、美羽さんとの強…
俺はどこかで壱也の事を下に見ていた。美羽が本当に好きなのは俺だと、壱也じゃないと。でも壱也は美羽を受け止めて、美羽も…
美羽が急に壱也の本を読み始めた。壱也と美羽の距離が縮まっている。あの夜以降、壱也とは学校でも会っていない。俺は、美羽…
一週間ぶりに登校して来る筈の壱也が来なかった。他の友人に「お前の姉ちゃん難儀だな」と言われる。週刊誌には『現役高校生…
久々に両親の休みが揃った週末。「美羽もうすぐ誕生日だし美味いもの食べに行こう」…と、盛り上がる親父と美羽。風邪気味で…
「うそ。ちょっと甘えた感出してみただけ」そう言って西条くんは私の手を離した。西条くんの胸の傷、覚悟。私の蒼介への気持…
家族になる。それってどういう…。蒼介の熱はあれからまた上がった。明日も学校へは行けないだろう。西条くんに、またプレゼ…
気付けば日常に押し流されて、現実逃避している。結局西条くんに貰った指輪は一度しか指につけていない。学校帰り、友達と入…
作家先生の和風家屋の庭でバーベキューのガーデンパーティ。全然気乗りしねぇ。でも一応招待されたし、美羽が心配だから付い…
取り乱して何もできなかった。あの時、蒼介が来なかったら、今頃どうなっていたかわからない。西条くんと付き合って初めて、…
「あいつと家族になんの?」「なれんの?」「あいつはそーゆーつもりで指輪渡してんだろ」「美羽はどういうつもりでいんの」…
あの日西条くんの物になって、不安定に揺れていた足元に優しい穏やかな物が積もってゆくたび、「ああもう大丈夫」…そう、思…
あの日から、蒼介の侵蝕が止まらない。しかしその事を、誰にも悟られてはいけない。私は何事もなかったかの様に振る舞う。振…
西条くんが退院した。これからは西条くんからもらった指輪いつもつけて、人目のある場所でもくっついたりして、もっとカップ…
もうすぐ夏休み。梅雨の晴れ間の朝。お母さんが黄色い花を花瓶に挿している。「おはよう」の挨拶だけでその事について私たち…
後ろめたさを打ち消すように、今の自分を正当化するように彼に電話していた。「用とかじゃないんだけどなんとなく」駅までの…
蒼介に引っ張られてラブホに入ってしまった。ベッドに押し倒される。お願いだからやめて…!「来たら抱き倒すって言った」「…
今日、私はなんでここに来てしまったんだろう。わからない、何もかも。わかってるのは蒼介、私もあんたも最低だって事。
始発の時間。電車が来るのが遠くに見える。この電車に蒼介とふたり乗って、どこまでも行けたら…。それを願う時点で、私は……
誕生日の約束の反故を謝る為だけに直接会いに来る様な彼女が、早朝こんな電話をしてくる。彼女が今普通じゃないのは明らかで…
こんなに惨めで苦しい思いをしても、このひとを手離せない。諦めることに慣れきった僕が、生まれて初めて心から欲しいと望ん…
力強く守ってもらいたくて(なのに結局独りが前提の思考で)、ずっとそばにいてもらいたくて(独りでも生きて行ける進路を選…
美羽さんを犯す夢を見て目覚めた。夢の中で、彼女は何回も「やめて」と懇願したのに、僕はやめなかった。こんな朝、もう何度…
下腹部が痛い。この痛みは西条くんの心の痛みだ。自分のせいで西条くんを西条くんでなくしてしまった。いつも遅い。気付くの…
西条くんは「行く」って言ってくれたけど、やっぱり一人で行くべきだろうか。迷ったけれど彼は「せめて見届けたいから」と着…
ここは昔と変わらない。あの日の暗く美しい夏の風景が今も目の前に広がっている。せっかく来たのに足が進まない。どんどん萎…
美羽さんの拒絶反応。眠れない夜。襖の向こうには彼女がいるのに、その距離を限りなく遠く感じる。午後23:20、突然の着…
墓前に手を合わせたいけど、その時自分がどんな感情になるのか不安だ。私たちがお墓に着いた時、誰かが水場を使っていた。お…
起きてまず目に入ったのは、ド深夜に寄こされた短い一文。例の弟の墓参りに行くと、ただそれだけ。美羽が初めて過去と向き合…
ありがとう。一緒に来てくれて、見届けてくれて、背中押してくれて、本当に。時間は進んでるんだね。忘れちゃいけない事だけ…
5年後10年後、この夏のことを私はどんな気持ちで思い返すんだろう。甘やかされて周りを見ないふりをしたり、ひとりが嫌で…
「お前と美羽のことを話せ、全部」ついに親父に知られた。いつかはこの日が来るとわかってた。それが今日だ。けど逃げねぇ。…
夢を見た。おとうさんと蒼介と、初めて顔を合わせた時の。イヤな感じは全然しなかった。それだけは、はっきり覚えてる。そん…
家を出された俺は、父方の叔父の家に放り込まれていた。スマホも財布も没収されて、自力で帰れない。美羽に連絡も出来ない。…
公衆電話から一度だけ美羽に電話を繋げた後は、大人しく親父の迎えを待つ事にした。生前の母の事、母の没後に俺を抱えた親父…
待ち合わせ場所に佇む彼女の横顔があんまり綺麗でゾッとした。連絡をもらって久しぶりに会った美羽さんは、何だか急に大人に…
帰り際、美羽さんのご両親に引き止められて夕飯をご馳走になった。こんな団欒の場、本当なら僕じゃなくて蒼介がいるべきだろ…
引越しの当日、駅に西条くんが見送りに来てくれていた。あんな突然の報告をして、怒っても当然なのに、おひとよし過ぎる。そ…
せめて既読になっていないか、未だに確認してしまう。季節は変わり、秋。美羽さんの居場所はわからない。連絡もない。後悔ば…
合格発表の朝、蒼介と話している夢を見て涙で目覚めた。家を出てから蒼介と過ごした日常の夢をよく見る。そして、それぞれの…
バイクの免許を取った蒼介が親には言えない借金をしに俺の所に来た。甥っ子に甘えられるのは悪い気はしないけど、その金を何…
蒼介から、美羽さんの居場所が判ったと連絡が来た。これから行くので僕の家に泊まっている事にしてくれと言う。僕も行きたい…
こんなとこまで来て何やってんだかな。寮の前で暫くぼんやりした後、さすがにもう行こうと腰を上げた瞬間、美羽が出て来た。…
かあさんにも、さとっちゃんにも同じ事を言われた。気持ちなんて変わる。でも俺の気持ちは変わらない。それを美羽に伝えたい…