優しく、柔らかに語られる舞妓さんたちの日常と素顔。そしてあったかいごはん…『舞妓さんちのまかないさん』の世界

舞妓さんの日常とそれを支える”まかないさん”に焦点を当てた、
温かい物語『舞妓さんちのまかないさん』の魅力をご紹介!
煌びやかで優雅な舞妓さんも、屋形に帰れば普通の女の子なんです。
舞妓さんも日常では女の子!キュンとするエピソード満載
あまり語られない舞妓さんの生活を、優しく温かく描いた作品。
ルールが決められた日常の中でも、元気に”舞妓さん”をやっていられるのは”まかないさん”のおかげ。

コンビニも禁止、カレーも禁止の生活の中でもやはり年頃の女の子です、不満もあります。
せっかくゲットしたプリンも誰かに食べられたりする事も…
お客さんの前ではかっこいい舞妓さんたちも素顔はやっぱり女の子なんです。
ここまで舞妓さんの生活に寄った作品は珍しいと思いました。

芸事の世界の知らない事情なども細かく描かれており、
優しいタッチながら興味深い内容となっています。
教科書では知らない世界、覗いてみませんか?

✔まかないさんのキヨちゃん

キヨちゃんのみんなを想う気持ちが安心させてくれます
幼馴染の”すーちゃん”と憧れの舞妓修行にやってきたマイペースな”キヨ”。
屋形のお稽古に怒られても、綺麗な着物に目を輝かせるだけ。
舞妓には向いてないと一度は夢をあきらめる事になるが、
体調を崩した台所のおばちゃんの代わりに”まかないさん”として憧れの舞妓さんたちを支える事に!

家事が得意で、優しく人を想う気持ちは誰にも負けないキヨ。
その優しくも温かい料理にも気持ちたっぷりで胸がいっぱいになります。
そして人柄からか、周りの人たちもあったかい気持ちに。
お料理を通じて語られるエピソードは、この作品の醍醐味です。

“まかないさん”は料理を作るだけではありません。
台所でのありのままの舞妓さんたちとのコミュニケーションや、
限られた費用の中での食費の管理も大事なお仕事。
明日も元気に舞妓さんをやれるよう裏方でその心を支えているのです。

本作にはそのタイトルどおり、数々のまかない料理が登場します。
それぞれのごはんのエピソードがじんわり心に広がって読み手の心も温かく、癒されます。
柔らかな線で描かれる料理たちは、時に力強く存在感を示し、食欲をそそる…。
誰かを思って作ったごはんは、おなかも気持ちもいっぱいにしてくれますよね。

✔幼馴染の存在

舞妓になれなかったキヨちゃんを想い、決意するすーちゃん
もう一人の主人公”すーちゃん”はキヨちゃんの幼馴染。
自分に厳しく、真面目なすーちゃんは周りからも期待される新人舞妓さんに。
幼かったあの頃も、一緒にお稽古した日も、デビューの日も、
ずっと見てきたキヨちゃんは以心伝心。

マイペースだけどみんなの心の拠り所・キヨちゃんと、
かっこよくて舞妓さんたちのホープ・すーちゃん。
そして…二人の大事なもう一人の幼馴染の健太。

劇中の合間に挟まれる回想にキュンとしたり、ドキッとしたり。
ますます感情移入してしまいます。
舞妓さんの日常を通じてゆっくり語られる3人の物語も要注目です。
お互いが思いやり、励ましあってきたからこそ、毎日元気に暮らしていけるんです。
飾らないキヨの優しさも、真面目で不器用だけど大切に想うすーちゃんだからこそベストコンビなのかも。

温かくも、ちょっぴりセンチな物語、ぜひ見届けたい作品ですね。

▼ 作品情報 ▼

舞妓さんちのまかないさん

著者:小山愛子


(C)小山愛子 / 小学館