偵察機を目撃したあいは、空腹も重なり、些細なことで班長や仲間を憎もうとしてしまった。戦争の足音が少女の純粋な心までも蝕もうとする中、昭和19年12月7日、名古屋を最初に襲ったのは敵国ではなく、大地震だった。さらに追い打ちを掛けるように、12月13日、三菱発動機に爆撃が。そこはあいの友達が働いているはずの場所。これが「名古屋大空襲」の始まりだった。
太平洋戦争末期の昭和19年、名古屋。木村家次女・あいは、国民学校高等科1年生。青春真っ只中にいるあいの関心は、かっこ…
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“お正月は敵も襲ってこない”――そんな楽観をよそに、昭和20年1月3日、来襲したB-29。さらに1月13日にはまた巨…
昭和20年3月19日、午前2時すぎ。氷点下4.6℃という寒さの中、ついにあいの真上にやって来た空襲。初期は航空機産業…
名古屋大空襲で“生活”を焼かれた木村(きむら)家は一家で岐阜山中の村へ疎開することに。しかし生活は厳しく、ときはいじ…