「乗らないんですか?」フリーライターの斑(まだら)は、出入りしている出版社のある古いビルのエレベーターで、顔見知りのエリート官僚風の男と乗り合わせる。オンボロビルにそぐわない高級スーツを着こなした男が今日は、かすかに情欲の匂いを漂わせていた。小さな箱の中、3人きりの濃密な時間に、斑はこれまでに感じたことのない暗い欲望を抱いてしまう。危険な世界で生きる男たちの一瞬の情事の始まりだった…。
「乗らないんですか?」フリーライターの斑(まだら)は、出入りしている出版社のある古いビルのエレベーターで、顔見知りの…