戦記には死が付き物である。死者の思いを仲間が受け継ぎ、物語は進んでいく。この『銀牙伝説WEEDオリオン』も犬を主人公とした戦記である以上、死ぬ者が出てくるのは必然。ここでは誰が死を遂げるのかは明かさないが、巷間よく言われるように「いい奴ほど、早死にする」のである。彼は仲間を良い方向に導くべく、時には議論し時には戦ってきた。そんな男が仲間の背に乗ったまま絶命する。物語の中でも五指に入る印象的なシーンであろう。そして政宗軍と天下軍の戦いも急展開。泰山のカラクリに気付いた政宗の逆襲は恐ろしく、こちらもハラハラさせられること必至。感動と興奮がこれまで以上に凝縮された第15巻。素晴らしい一冊である!